バドミントンダブルスラケットを選ぶときに迷いやすいのは、単に人気モデルを買えばよいわけではなく、自分が前衛で触る回数が多いのか、後衛からスマッシュで押す場面が多いのか、またはローテーションの中で攻守を均等にこなしたいのかによって合う一本が変わる点です。
ダブルスはシングルスよりも展開が速く、ドライブ、レシーブ、プッシュ、カウンター、連続スマッシュの切り替えが短時間で起こるため、ラケットの重さやバランスだけでなく、振り抜きやすさ、面の安定感、シャフトの硬さ、ガットの張り上げ設定まで含めて考える必要があります。
特に初心者から中級者は、上級者向けの硬いラケットや極端にヘッドヘビーなモデルに憧れて選んでしまい、レシーブが遅れる、バックハンドが飛ばない、肩や肘に負担が出るといった失敗をしやすいです。
この記事では、バドミントンダブルスラケットの候補を前衛向き、後衛向き、オールラウンド向き、初心者向きという視点で整理し、選び方やガット設定、購入前に確認したい注意点まで具体的に説明します。
バドミントンダブルスラケットのおすすめ候補
ダブルスで使いやすいラケットは、反応速度を優先するモデル、スマッシュの威力を重視するモデル、攻守のバランスを取りやすいモデルに大きく分かれます。
ここでは、実在する主要メーカーの定番モデルを中心に、ダブルスで候補に入りやすいラケットを紹介します。
同じシリーズでもPRO、TOUR、GAME、PLAYなどのグレードがあり、価格や打球感、扱いやすさが変わるため、名前だけでなく自分の技術レベルに合うグレードまで見ることが大切です。
ASTROX 88 S PRO
ASTROX 88 S PROは、前衛で速く触る場面を増やしたいプレーヤーに向いたダブルスコンセプトの代表的なラケットです。
ヨネックスのASTROX 88シリーズはダブルス向けとして展開されており、Sは前衛寄り、Dは後衛寄りという役割の違いを意識して選びやすい点が特徴です。
前衛では、相手のドライブを短く押さえる、ネット前で浮いた球を決める、レシーブ後に素早くラケットを立て直すといった動作が多いため、操作性と面の出しやすさが重要になります。
ASTROX 88 S PROは上級者向けの反応性能を生かせる人ほど魅力を感じやすい一方、ラケットワークがまだ安定していない初心者には打球の芯を外したときに難しさを感じる可能性があります。
前衛で攻撃の起点を作りたい人、ミックスダブルスでネット前に入る機会が多い人、ドライブ戦で先にラケットを出したい人には候補に入りやすい一本です。
ASTROX 88 D PRO
ASTROX 88 D PROは、後衛からスマッシュやドロップでラリーを組み立てたいプレーヤーに向いたダブルス用ラケットです。
Dは後衛での突破力を意識しやすい設計で、相手を押し込む連続攻撃や、やや苦しい体勢からでも奥へ返す場面で頼りやすいタイプです。
ダブルスの後衛は単に強打するだけでなく、スマッシュ、カット、クリア、ドロップを打ち分けながら前衛に決定機を作る役割があるため、パワーとコントロールの両方が必要になります。
ASTROX 88 D PROは攻撃的なプレーと相性がよい反面、速いレシーブ戦や体の近くに来た球の処理では、軽快なヘッドライト系より遅れを感じる人もいます。
後衛から展開を支配したい中上級者、スマッシュ後の次球まで準備できる体力がある人、男子ダブルスで攻撃参加が多い人に向きやすい候補です。
NANOFLARE 800 PRO
NANOFLARE 800 PROは、ドライブやレシーブのテンポを上げたいダブルスプレーヤーに合いやすいスピード系ラケットです。
ナノフレア系は弾きや振り抜きの軽快さを求める人に選ばれやすく、特に800系は平行展開で相手に時間を与えないプレーと相性がよいです。
ダブルスでは、強いスマッシュを一発打つよりも、レシーブからドライブで押し返し、相手のラケット面を遅らせる展開が勝敗に影響することがあります。
NANOFLARE 800 PROはシャトル離れの速さを感じやすい一方で、しっかり球を持って運ぶ感覚を好む人には少し硬質に感じる場合があります。
前衛と後衛を問わず速いラリーに対応したい人、ダブルスの平行陣で主導権を握りたい人、重いラケットでレシーブが遅れやすい人に検討しやすいモデルです。
NANOFLARE 700 PRO
NANOFLARE 700 PROは、軽快な操作感と守備のしやすさを重視する人に向きやすいダブルス候補です。
強烈なスマッシュだけを求めるより、レシーブで粘る、相手の速いドライブを返す、ネット前へ素早く入るといった総合的なラリー力を高めたい人に合いやすいです。
ダブルスでは守備の質が攻撃の入り口になるため、相手のスマッシュをただ返すだけでなく、低く速く返して攻守を入れ替える技術が求められます。
NANOFLARE 700 PROは軽さを生かした連続処理に魅力がありますが、後衛から重いスマッシュで押し切りたい人には物足りなく感じることがあります。
女性プレーヤー、ジュニアからステップアップする人、社会人サークルで長時間プレーする人、肩や肘への負担を抑えながら速い展開に対応したい人に選びやすい一本です。
ARCSABER 11 PRO
ARCSABER 11 PROは、攻守のバランスを取りながらコントロールを重視したいダブルスプレーヤーに合いやすいラケットです。
アークセイバー系は極端なヘッドヘビーやヘッドライトではなく、シャトルを面でとらえてコースを作る感覚を重視する人に向いたシリーズとして知られています。
ダブルスでは前衛と後衛が入れ替わる場面が多く、どちらか一方の役割だけに寄せすぎると、ローテーション後に扱いにくさが出ることがあります。
ARCSABER 11 PROは前でも後ろでも無理なく使いやすい反面、圧倒的なスマッシュ特化や超高速ドライブ特化を求める人には個性が控えめに感じられる可能性があります。
ペア内で役割が固定されていない人、シングルスとダブルスを兼用したい人、ショットの精度を上げたい中級者以上にとって候補に入れやすいモデルです。
ASTROX 77 PRO
ASTROX 77 PROは、攻撃力を欲しいけれど重すぎるラケットは避けたい人に向いたオールラウンド寄りの候補です。
ヘッドヘビー系に分類されやすいASTROXの中でも、極端に扱いが難しいモデルよりバランスを取りやすく、ダブルスでもシングルスでも使いやすいと感じる人がいます。
ダブルス初心者から中級者がいきなり最上級の硬い攻撃モデルを選ぶと、スマッシュは強くなる前に振り遅れやミスショットが増えることがあります。
ASTROX 77 PROは攻撃の伸びと操作性の妥協点を探している人に合いやすく、後衛だけでなくローテーション後の前衛処理にも対応しやすい点が魅力です。
パワーアップを狙う中級者、ペア練習で前後の役割を固定していない人、将来的に上級モデルへ移行したい人に検討しやすいラケットです。
FORTIUS 10 POWER
ミズノのFORTIUS 10 POWERは、しっかり振って重い球を出したい攻撃型プレーヤーに向きやすい候補です。
ダブルスで後衛に入る機会が多い人は、相手のレシーブを甘くさせるためにスマッシュの角度や球威を高めたいと考えることが多いです。
ただし、パワー系ラケットは扱えるスイングスピードや体幹の強さがあってこそ長所が出るため、腕だけで振る人や連続スマッシュ後にフォームが崩れる人には負担が大きくなります。
FORTIUS 10 POWERは力強いプレーを目指す人に魅力がありますが、速いドライブ戦を軽快にさばきたい人や、レシーブ主体のプレーヤーには別の軽量系候補も比較したいところです。
男子ダブルスで後衛攻撃を担う人、スマッシュを武器にしたい人、筋力やフォームにある程度自信がある人に向きやすい一本です。
ALTIUS 01 FEEL
ミズノのALTIUS 01 FEELは、コントロールと打球感を重視してラリーを組み立てたい人に検討しやすいラケットです。
ダブルスでは強打だけでなく、相手の前衛を外すロブ、ネット前へ沈める返球、緩急をつけたドライブなど、細かいコントロールがポイントにつながります。
硬すぎる攻撃モデルでミスが増える人は、面の安定感や球持ちを感じやすいタイプを選ぶことで、狙った場所へ返す安心感を得やすくなります。
ALTIUS 01 FEELは派手な一撃よりも、ラリーの中で相手を動かしながらチャンスを作るプレーに向きやすい一方、後衛から一発で決める爽快感を最優先する人には別候補が合う場合があります。
ミックスダブルスで配球を重視する人、社会人クラブで安定した試合運びをしたい人、ショットの再現性を高めたい人に合いやすい候補です。
ダブルスで失敗しにくい選び方
バドミントンダブルスラケットは、モデル名の人気やプロ使用のイメージだけで選ぶと失敗しやすいです。
大切なのは、自分が実際の試合でどのショットを多く打っているかを把握し、その課題を補えるスペックを選ぶことです。
ここでは、重さ、バランス、シャフトの硬さという基本を、ダブルスのプレーに結びつけて整理します。
重さは4Uを基準に考える
ダブルスで迷ったときは、まず4U前後を基準に考えると選びやすくなります。
4Uは軽快さとパワーのバランスを取りやすく、前衛の素早いタッチにも後衛のスマッシュにも対応しやすい重さです。
| 重さ表記 | 向きやすい人 | 注意点 |
|---|---|---|
| 3U | パワー重視 | 振り遅れに注意 |
| 4U | 標準的なダブルス | 迷ったときの基準 |
| 5U | 操作性重視 | 球威不足に注意 |
ただし、同じ4Uでもヘッドが重いラケットは実際より重く感じるため、重さ表記だけでなくバランスも合わせて見る必要があります。
バランスは役割で選ぶ
ラケットのバランスは、ダブルスでの役割に直結しやすい重要な要素です。
前衛で速く触りたい人はヘッドライト寄り、後衛から攻めたい人はヘッドヘビー寄り、前後を均等にこなす人はイーブン寄りを候補にすると選びやすいです。
- 前衛重視はヘッドライト寄り
- 後衛重視はヘッドヘビー寄り
- 兼用重視はイーブン寄り
- 初心者は極端な設計を避ける
自分の理想ではなく実際の試合で遅れている場面を基準にすると、スマッシュ力だけを追ってレシーブが崩れるような失敗を避けやすくなります。
シャフトは無理に硬くしない
シャフトの硬さは、打球の鋭さだけでなく、タイミングの取りやすさにも関係します。
硬いシャフトは速いスイングで押し込める人には反応がよく感じられますが、スイングスピードが足りない人にはシャトルが飛びにくく感じられます。
ダブルスでは短い準備時間で打つ場面が多いため、常に理想的なフォームで振れるとは限りません。
初心者や中級者は、まず中程度の硬さを選び、レシーブやバックハンドが楽に飛ぶかを確認してから硬いモデルへ移行すると失敗しにくいです。
プレースタイル別の合わせ方
同じダブルスでも、前衛で決めるタイプ、後衛で崩すタイプ、守備から攻撃へ切り替えるタイプでは合うラケットが変わります。
ラケット選びは、自分の得意ショットを伸ばすのか、苦手ショットを補うのかを決めるところから始めると整理しやすいです。
ここでは、代表的なプレースタイルごとに向きやすい方向性を説明します。
前衛型は反応を優先する
前衛型のプレーヤーは、ラケットを素早く立て直せることを最優先に考えるとよいです。
ネット前では大きなスイングをする時間が少なく、相手の浮いた返球を一瞬で押さえる判断と準備が求められます。
| 重視点 | 選び方 | 合いやすい場面 |
|---|---|---|
| 操作性 | 軽めを選ぶ | プッシュ |
| 弾き | 反発系を選ぶ | ドライブ |
| 面安定 | 中硬度を選ぶ | ブロック |
ただし、軽さだけを追うと後衛に下がったときに球威不足を感じることがあるため、ローテーションが多い人は完全な軽量特化よりバランス型も候補に入れると安心です。
後衛型は連続攻撃を見る
後衛型のプレーヤーは、スマッシュの一発だけでなく、連続して打ったときにフォームが崩れないかを見ることが重要です。
試合では一度の強打で決まらないことも多く、スマッシュ、ドロップ、クリアを組み合わせて相手を動かす必要があります。
- 一発の球威
- 連続スマッシュの疲れにくさ
- ドロップのコントロール
- レシーブ時の戻しやすさ
後衛向きのヘッドヘビー系を選ぶ場合でも、守備に回った瞬間に遅れないかを確認し、攻撃時の魅力と守備時の負担をセットで判断することが大切です。
守備型は返球の質を上げる
守備型のプレーヤーは、相手のスマッシュをただ返すだけでなく、低く速く返して相手に次の強打を打たせないことが重要です。
レシーブで遅れやすい人は、ヘッドが重すぎるラケットを避け、振り抜きと面の出しやすさを優先すると改善しやすいです。
一方で、軽すぎるラケットを選ぶと相手の強打に面が押されて返球が浮きやすくなることがあります。
守備型は軽快さと面安定のバランスを見ながら、ドライブで攻守を入れ替えられるラケットを選ぶと試合で使いやすくなります。
ガットとグリップの調整
ダブルスでラケットの性能を生かすには、本体だけでなくガットとグリップの調整も欠かせません。
同じラケットでも、テンションを変えるだけで飛びやすさ、弾き、コントロール、腕への負担が大きく変わります。
購入後に合わないと感じた場合でも、セッティングを調整することで扱いやすくなることがあります。
テンションは見栄で上げない
ガットのテンションは高いほど上級者らしいという印象がありますが、誰にとっても高テンションが正解ではありません。
テンションを上げると弾きやコントロールが鋭く感じられる一方、芯を外したときに飛びにくくなり、腕への負担も増えやすくなります。
| 目安 | 特徴 | 向きやすい人 |
|---|---|---|
| 低め | 飛ばしやすい | 初心者 |
| 中間 | 扱いやすい | 中級者 |
| 高め | 反応が鋭い | 上級者 |
ダブルスでは短い動作で打つ場面が多いため、まずは無理なく奥まで飛ぶ範囲で張り、慣れてから少しずつ上げるほうが失敗しにくいです。
ガットは目的で変える
ガットはラケットの打球感を大きく変えるため、ラケット本体だけで不満を判断しないほうがよいです。
細いガットは弾きや打球音を感じやすく、太めのガットは耐久性や安心感を得やすい傾向があります。
- 弾きを重視する
- 耐久性を重視する
- コントロールを重視する
- 打球音を重視する
ダブルスでガットが切れやすい人やトップ付近でミスヒットが多い人は、細さだけで選ばず、耐久性とのバランスも考えることが大切です。
グリップは握り替えやすさを見る
ダブルスではフォア、バック、プッシュ、ドライブ、レシーブを瞬時に切り替えるため、グリップの太さが操作性に大きく影響します。
太すぎるグリップは力を入れやすい反面、握り替えが遅くなりやすく、細すぎるグリップは操作しやすい反面、面がぶれやすく感じることがあります。
特に前衛で細かくラケットを動かす人は、手の中でラケットを回しやすい太さに調整すると、ネット前の反応が安定しやすくなります。
購入時の標準状態で判断せず、元グリップを残すか外すか、オーバーグリップを何枚巻くかまで試すと、自分に合う感覚を見つけやすいです。
購入前に確認したい注意点
バドミントンダブルスラケットは、スペック表やレビューだけでは判断しきれない部分があります。
実際の打球感、手元の重さ、振り抜き、ミスヒット時の感触は、同じモデルでも使う人の筋力やフォームによって評価が変わります。
買ってから後悔しないために、試打、グレード、耐久性、予算の見方を押さえておくことが大切です。
試打できるなら必ず振る
購入前に試打できる環境があるなら、短時間でも実際に振って確認する価値があります。
スペック上は合いそうに見えても、手に持ったときの重心、振り出しの軽さ、インパクトの硬さが自分の感覚と合わないことがあります。
| 確認項目 | 見る場面 | 判断基準 |
|---|---|---|
| レシーブ | 速い球 | 遅れないか |
| スマッシュ | 後衛 | 連続で振れるか |
| ネット前 | 前衛 | 面を出せるか |
試打では最初の数球だけで判断せず、レシーブ、ドライブ、スマッシュ、クリアを一通り試し、疲れてきたときにも扱えるかを見ることが大切です。
グレード違いを比較する
同じシリーズでも、PRO、TOUR、GAME、PLAYのように複数グレードが用意されていることがあります。
最上位モデルは素材や反応性能に魅力がありますが、必ずしも全員に扱いやすいとは限りません。
- PROは性能重視
- TOURは競技志向
- GAMEは中級者向き
- PLAYは価格を抑えやすい
初心者や中級者は、上位グレードへの憧れだけで選ばず、まず扱えるグレードを選んでフォームとフットワークを安定させるほうが上達につながりやすいです。
ペアとの接触も考える
ダブルスではペアとのラケット接触が起こる可能性があり、シングルスよりも破損リスクを意識する必要があります。
特に前衛と後衛の境目に来た球、中央へ上がったロブ、スマッシュレシーブ後の混戦では、二人が同時にラケットを出してぶつかることがあります。
高価格の上級モデルを選ぶ場合は、性能だけでなく、普段のペアとの声かけや守備範囲の確認もセットで考えることが大切です。
練習量が多い人や初心者同士で組む機会が多い人は、最初から最上位モデルを一本だけ買うより、扱いやすく交換しやすい価格帯を選ぶ判断も現実的です。
自分の役割から選ぶと納得しやすい
バドミントンダブルスラケットは、人気ランキングの上位モデルを選ぶだけではなく、自分が試合でどの役割を担うことが多いかを起点に選ぶと失敗しにくくなります。
前衛で速く触る人は操作性と弾き、後衛で攻める人はパワーと連続攻撃のしやすさ、前後を入れ替わる人は極端すぎないバランスを重視すると候補を絞りやすいです。
ASTROX 88 S PROやASTROX 88 D PROのようなダブルスコンセプトモデルは役割に合わせて選びやすく、NANOFLARE系は速いラリーや守備の切り替えを重視する人に検討しやすいです。
一方で、ラケット本体だけでなく、ガットのテンション、グリップの太さ、ペアとのプレースタイル、試打したときの感覚まで含めて判断することが、長く使える一本を選ぶ近道です。
まずは自分が前衛型、後衛型、守備型、オールラウンド型のどれに近いかを整理し、無理なく振れる重さとバランスから候補を決めていけば、試合中に扱いやすいラケットを見つけやすくなります。
